無毛の荒野に

ハゲになる夢を見た。
仕事柄、特に問題もなく、そんな年齢なので何とも思わないのだが。

夢の中で食事中、仕事場の人に「だいぶ髪の毛が伸びたね」と言われた。「じゃあ切って来ます」と言って店を出て、なぜかせっかくならお洒落な美容院で切ろうと思ったらしい。もちろん今までで1度も行ったこともないし、考えた事もない。勝手な想像の中で、都内に出て、勝手な想像で表参道にあると思っている場所に行く。飛び込みで入ってお願いをする。椅子に座る。何か水らしき物を霧吹きでかけられたら頭が濡れて薄い部分がたくさん出てきた。「これは全部剃らないとカッコ悪いですね」って言われた。鏡を見るとまあそんな感じになっていた。「じゃあ、剃ってください」と言って、終わった頭を見たら、パンチパーマ姿に。
「え、え、?」と言ったら、美容師はどや顔で「いやーあの毛量でここまでがんばりましたよ」と言った。大仏様も螺髪だしいいか。と変な納得で店をでました。

布団と夢

 

これは僕の話であり、僕の中の人の話である。
夢の中を渡り歩く僕は、さながら物語の主人公の様であり、鬱積された思いの被害者の様でもあった。

その日も夕方から雪が降り始め、気温がどんどん下がっていく。気温が下がるがれば下がるほど、布団と呼ばれる物の中の空間が幸せで満たされていく。
タオルケットで肌触りを
毛布で暖かさを
羽毛布団で保温を
それぞれの役割が発揮された時に、僕は最高の多幸感に包まれる。しかし、ただ布団に入ればいい、というものでもない。

先ずは風呂に入り、心と身体の汚れを落とす。シャワーではなく、風呂桶でお湯に浸かるのがいい。「あぁぁぁぁぁぁぁ」と言う声で1日の嫌なものを吐き出し、換気扇に吸わせて家外に排出。これが家にあると気分がわるくなってしまう。
身体を洗い、もう一度湯船に浸かる。
「ああぁ」と、さっきより短い声で残りの汚れを吐き出す。身体を吹いて新しい下着に着替える。どんなに寒くても、シャツ・パンツ・ステテコ・で布団に入る。寝巻きに着替えたり、ジャージにしたり、といろいろ試したが、どれもしっくりこなかったので、最低限の装備に落ち着いた。

ほうじ茶を飲み、トイレに行き、歯を磨き、お風呂で暖たまった身体を、布団に滑り込ませる。「はあぁぁぁぁぁ」幸せの雄叫びが六畳の寝室にこだまする。
僕は眠れないと言うことがない。そこそこ長く生きているがない。逆に起きているのがしんどいくらい眠れる。ましてや、環境が整っているならすぐにでも眠れてしまう。ただ、のび太師匠の枕を放り投げ、下に落ちるのに合わせて頭をのせ、眠りに入る技には到底敵わないのだが。

最近は特に家とか、部屋とかに関係する夢が多い。新しい家、昔住んでいた家、旅行先の旅館。駅の中やホーム、終電に関するものもある。

今日はの舞台は、四畳半くらいの部屋に窓が二つ、壁際にパイプベッド、壁に何かのポスター、絨毯は緑色、窓の外からは近い場所に崖が見えて等間隔に銃を持った警備員らしき人達が立っている。その部屋に入り「今日も疲れたなぁー」と思いながらベットに座ると、外の警備員らしき人達の話し声が気になりだす。何を話しているのかはわからないが、凄くきになる。窓側によると、どうも昨日の夜ごはんの話らしく、ハンバーグとか焼き肉という言葉が聞こえていた。気がつくと、警備員らしき人が数名部屋の中に入っていて談笑している。良く見るとタイムマシーン3号と言う芸人さんがいて、ん?って思うと部屋が大きなホールになっていた。見渡すと、自衛隊?消防士?警備員?が数十人いて、何人かは上半身裸で腕立て伏せをしていた。

今日は一つだけだったなぁ。複数の夢を見るときもあるけど、覚えているのは1つくらいかな。

空腹と薫り

大久保駅南口を出ると、日が落ち夜の装いを纏っていた。あまり見たことのない雰囲気の駅前で、高架下の出入り口なのだが、建物がかなり近くまで建っている。

待ち合わせの時間までは少しあるので、界隈を散策する。新宿の隣なのだか、降りたことのない場所なのでワク(ワクワクまではいかない)している。知らない場所は好きなのだが迷子にはなりたくないので基本、真っ直ぐ歩いていく。夕飯を食べるための待ち合わせなので、いつもは興味がある良い雰囲気のお店を何軒もスルーしなければならないのは痛いが、次回来た時に楽しもう。

しばらく歩くと知っている都会のビルや道路が見えてきた。高層ビルはあんなに威圧感でならなければならないのか、と思うくらいに偉そうにそこにある。振り返り見ても、出てきた路地に南口への誘導などなく、知らなければたどり着けないのではと思ってしまう。偉そうなビルには何の用事もないので一旦、雑踏の中に戻っていく。歩きながら、でかいのと威圧的なものはセットなのかと思ってみたが、肩幅ヒロシはでかいが、腰も低くあんまり威圧的ではないなと、関係のない事を考えたりもした。肩幅ヒロシに引っかかった方は、各々調べて見てください。

南口は高架下なので、右と左に出口が別れている。先ほどとは反対方向に、真っ直ぐすすむ。人びとが進む方向には、新大久保のコリアンタウンがあるのであろう。10mも歩かないくらいでそれがわかる、いや身体が感じている。前から来る大気全てがゴマ油でコーティングされている。通り行く人は皆普通に歩いている。僕だけなのか?こんなに暴力的なほどにゴマ油が襲ってきているのに。
ここで、少し前に戻るが「夕飯を食べるための待ち合わせなので」と書いた。そう!これからご飯を食べるために用意したボディは、過剰に反応していたのだ。僕には抗えない薫りが3つある。ゴマ油の匂い、醤油のこげる匂い、カレーの匂いだ。この薫りで造った手榴弾を投げ込めば、戦争も中断できるのではとおもうほどだ。
そんなゴマ油の大気をかき分け駅に戻り、待ち人と合流する。
本日の夕食は、混ぜそばだ。合流した知人の言葉であるが「大久保駅南口はこの混ぜそばを食べるためにある」と言う事だ。食べ終えた感じから混ぜそばと呼んだ方がいいと思う。油そばとか、汁なしの担々麺とか類似もあるが、油っぽくはないし、茹で上げた中華麺に調味液がかかっていて、色んなトッピングができる。なので、混ぜそばだと。
調味料を加えて、味を模索する。そのままでも十分なのだが、酢・胡椒・一味・かえし・マヨネーズ・魚粉・ラー油・海老油・ゴマ油・など少しずつ加えていく。
色んな味を楽しみ、最後の一口は……ゴマ油です。
初めての店で量的に少し物足りなかったので、次は大盛にしていきたいです。

ステージの上

神戸三ノ宮の駅前にいる。繁華街の駅前とあって人も多く、当然の様に関西弁と言われる言葉が飛びかっている。飛行機、バスを乗り継いでの長距離移動。しかし、この地を観光に来たのではない。

推しは推せるうちに推せ!最近そんな言葉を耳にします。解散や脱退、今生との別れなど自分の好きな形体がなくなってしまう事が多い中、30年も続けているおじさんたちのはしゃぐ姿を見るために神戸まで行ったのです。こんな書き方をしたら失礼だとは思いますが、ど素人なので音楽性とかは正直わかりません。ただ、おじさんたちが楽しそうにはしゃぐ姿に魅せられて追いかけてます(曲も好きです)。

好きになってもう20年近くになります。今まで特に好きなアーティストもいないまま、音楽はほぼ全てBGMのような感じで受け取っていた半世紀でした。
もちろん、バブルもジュリアナもバンドブームも時代としては経験してますが、全て横目でながしてきました。

陰キャなのでキラキラした物が苦手なんです。よく聞く話で幼稚園や小学校の演劇的出し物では草や木、馬車の馬でした。と僕に言わせたら陰キャもどきの人たちもいますが、舞台上にいられるだけすごいです。
幼稚園では、語り(ナレーションの用なもの)小学校では小道具とそこには立った事はありません。

そんな僕が好きな愛すべきおじさんたち「巨乳まんだら王国」。
exメンバーで女子もいますが、基本的にはおっさん達で、巨乳の部分は全くの詐欺です。この人達に出逢ってから、つまらない人生が豊かになりました。
長く追いかけているので、僕の事を知ってくれている人や久しぶりの方ともご挨拶できて楽しいライブでした。
最近は、他のアーティストさんや、アイドルさんも好きになり見に行っていますが、ファンという役を与えて貰えて、ただただ感謝しかありません。

白と黒の世界

Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)
中高年の方々はご存知MRI。朝からこの検査にいってきました。定期検診なのですが、肝臓に少し不安な影があるので年に一回入ってます。

検査を得意な人はいないとおもいますが、僕ももちろん得意ではないです。実際の所、横なって寝ているだけじゃない、といったらそれまでなんです。ですが音と閉鎖空間が、かなり不快。

嫌いな音TOP 10に入るくらいのブザーとスキル音。絶対にここにいちゃだめなくらいの音なのに、機械の中に寝そべっていなければならない。音量軽減と指示の為に被るヘッドホンからは、「リラックスしてください」との音声が。

鳴るブザー音、リラックスしてくださいとの音声

鳴るブザー音、リラックスしてくださいとの音声

こんなんでリラックスはできないだろ!って思いながらの、まな板の上の鯉です。

そして結構時間がかかるんです。レントゲンやCTスキャンはだいたい5分から10分くらいなんですけど、MRI は25分くらいかかるんです。(まあ、人と検査内容によって違うとおもいますが)

あとは閉鎖感。狭いところがあんまり得意ではないんです。恐怖症とまではいかないんですが嫌です。

目を開けると真っ白い虚無の世界、目を閉じると虚空に広がる黒い空間。だんだん不安になってくる、早く終わらないかと思うが長い。白と黒の世界を何回か行き来したとこで、ガチャっという音と共にまな板が動く。

「お疲れさまでした」と技師の方が終わりを告げ、虚無の世界が終わる。精神的に疲れたところで検査が終わる。ただ、ここで終わりではない。この後にもっと怖いことが待っている。
受付機からは、診察検査料16000円!と書いた紙が出てきた。健康の為の投資なのだが、まあまあ痛い金額です。



深夜の新宿

ライブを観戦し、家路に向かう為の終電を諦めたので、朝までどこかで過ごさなければいけない。普段なら漫喫に飛び込み、始発まで起きて半畳寝て一畳の空間で過ごすのだが、今日の僕の横には新宿で深夜を過ごすことができる知人がいる。僕はお酒が飲めないので、飲み屋を転々として時間を過ごすことがない。だが、お酒を飲む人と一緒であればどんな小粋なバーであっても「クランベリージュースをください」と言える。

ライブ会場から深夜の新宿に向かう。都内も終電に近い時間なので、駅に向かう人でゴッタがえしていた。その人混みに向かい合うように僕らは町に進み、歌舞伎町の外国人のお客しかいないキャッシュオンのお店に入る。
知人は、ビールをワンパイント僕はクランベリージュースを頼む。ビールを1杯ではなく、ワンパイントで頼むっていうのが居酒屋と違う。

パイントとは、アメリカやイギリスを中心に使用されているヤード・ポンド法における体積の単位で、1パイントはアメリカのUSパイントは473ミリリットル、イギリスのUKパイントは568ミリリットル。お洒落な単位がシワの少ない脳みそに刻まれた瞬間でもあった。

休日

朝、目覚ましの音が聞こえる。遠くで鳴っている。止めに行かないと、止めに行かないと、と思いながら夢の中で考える。そこに目覚ましはない。そこの戸棚もない。虚ろに目が覚めて携帯のアラームを止める。何て事はない、枕の下に入っていて音がこもっていただけだった。
ベッドから身体を起こし、トイレに向かう。用を済ませある事に気づく。今日は休みだ。よし!二度寝しよう。ふと気付いた休みの事実に得した思いを胸に、ポッカリと空いた掛け布団のの穴に身体を滑り込ませる。暖かい、この暖かさが欲しくて部屋の窓は空けてある。安心感が身を包み睡魔がローリングクレイドルを極めてくる。たぶん5秒と持たなかったであろう。
目が覚める。やつとの四角いジャングル(ベッド)での戦いは完全に敗北だった。さて、地獄の扉を開けに三軒茶屋に行こう。