バイクに乗るまで

朝、目を覚ますとどんより雲っている。前日とは違い生暖かい空気が湿りを帯びて、部屋に溜まっている。眠い目を擦りながら起き抜けに冷蔵庫のレッドブルを飲みほした。CMを見た賢明な方ならおわかりであろう。翼をさずかったのだ。
湘南爆走という漫画をご存知だろうか?昭和の暴走族漫画である。主人公逹の言葉で、「俺たちには羽がある」と言う様な事を言った場面があった...たぶんあった。これは、バイクに乗りどこまででも走っていけると言う事の比喩表現である。
今、僕の持ち物に物理的に羽と呼べるものがあり、更に翼をいただいたのだ。もう翔ぶしかない。ジャケットをハンガーから外し、家の横にある駐車場に向かいバイクのカバーを外す。15日ぶりの車体にはすこし埃がのっている。軽くタオルで払いながらエンジンに火を入れる。キュルルル、ドッドドッドッドットと軽いながら野太い音が駐車場に響く。
場所はどこでもいい。連れていってくれ、ピリオドの向こう側に。なんて言うつもりはない。安全運転で海の方に向かおう。